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その日からメールのやりとりが増えてきた。しかし情報戦とも言えるようなやりとりに、茜が恋心へ進んでいるのかわからない。
もっとも優弥は茜とのやり取りをすればするほど、好きになっていっている。
これが恋人へのステップに繋がっているのか、優弥はわからないままでいた。
それでも、お互いのことを着実に知ることができている。
茜は、
甘いものが好きで、
筋トレが趣味で、
ファッションはあまり興味がなくて、
防衛大学校に行ったのはパイロットになりたかったからで、
これからもパイロットでありたい
と思っている女性自衛官だ。
毎回、お互いが知りたいことを訊いては返して、質問する。
周りから見れば、友達にすら見えないかもしれないが、優弥は茜とのやりとりをいつも楽しみにしている。
12月も終わりに向かってきた。
来週はいよいよ今年最後の航空祭だ。もちろん前後含めて休みは取ってある。
新田原での航空祭は毎年外さずに行っている。いつもより距離も時間もかかるが、これを見ないと1年が締めくくれないのは空自ヲタクならではなのかもしれない。
仕事終わりにメールを見ると、茜からメールが届いていた。
『新田原での航空祭前に会えませんか?』
直接会うのは、合コン以来だ。
メールでしか話してこなかった。電話も時間が合わず、できなかった。
優弥はすぐにスマホのスケジュールアプリを開いた。ちょうど明日は休みだ。すぐに茜に連絡する。彼女はすぐに返信してくれた。
10時に合コンの時に別れた駅前。
ようやく取り付けた約束。
何を話そうか、どこに行こうか。
心が踊るというのは、こういうことか。
いつも以上に軽い足取りで、優弥は家路に急いだ。
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