十五 祝いの打上げミサイル

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 二十発のICBM は中国の首都の全国統一党大会会場と政府へ飛翔した。  二十発のICBMが露国の祝典会場と政府へ飛翔した。  残りの十数発のICBMが、朝鮮政府と国家元首の居住地に飛翔した。  朝鮮の国家元首は慌てた。 「ミサイルを自爆させろ!」 「コントロールできません!」  大陸間弾道ミサイル・ICBMは、静止軌道から落下するだけの神の杖とは異なり、その速度はマッハ二十を超える。超音速のICBMは迎撃されること無く、正確に、朝鮮政府と国家元首の居住地と、中国と露国の二国の目標地点へ飛翔した。  朝鮮のICBMが落下に転じると同時に環太平洋環インド洋連合国・PRIORUNの宇宙ステーションから神の杖が放たれた。  ICBMと神の杖で、朝鮮政府と国家元首の居住地を中心に、半径二十キロ圏内がクレーターに変った。  中国全国統一党大会会場と政府を中心に、半径三十キロ圏内がクレーターに変った。  露国の祝典会場と政府も、半径三十キロ圏内がクレーターに変った。  一報を受けた中国反政府組織は、いっせいに蜂起した。  露国のボスコノフは隣国国境から、解法軍をモスクワへ侵攻させた。  これで、一党独裁政権の国家が民主国家に移行したかと思えたのは、ほんの一時だった。前政権の残党と称する新たな大統領と書記長が、小国に転じた中国と露国を、ふたたび大国にしようと、その機会を狙っていた。 (ⅩⅤ Another Universe④ 太陽系の侵略者① サイボーグ  了)
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