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「共産国内を情報収集衛星で探査するのは?」
「これから試みるが、気づかれれば撃墜される・・・。ソファに座れ・・・」
吉永は窓を背にした執務机に座っている。その前に立っている前田班長(特捜部捜査官・警部)を、執務机とドアの間にあるソファーに座らせた。
「みっちゃん。情報収集衛星を使って、コンメイから南南西へ千二百キロメートル離れた地表施設のアップ映像を見せてくれ」
吉永は執務机のディスプレイに向ってそう指示した。
右手の壁が真ん中から左右にスライドしてディスプレイが現れた。
吉永は執務机から離れて、ソファーへ移った。
「映像が現れます・・・」
壁のディスプレイから三井情報官の声が聞えて、映像が現れたとたん、映像が消えた。
「どうした!映像が消えたぞ!」と吉永。
「攻撃されました!電磁パルスです!」
三井情報官は慌てている。
「サイバー攻撃ではないのか?」
「情報収集衛星のシステムがダウンしました。復旧に一時間はかかります。
攻撃はスパイ衛星からです。我々の情報収集衛星の百キロメートルほど上空から、スパイ衛星がステルス状態で、情報収集衛星を監視していましたが、みずからのパルス攻撃で、自分のステルス機能を失ったようです。
このスパイ衛星の国籍は不明です!」
壁のディスプレイに球体型のスパイ衛星が現れた。他の情報収集衛星からの画像だ。
「粒子ビームで破壊してくれ」
「了解しました」
三井情報官の言葉が終らぬうちに、スパイ衛星が破壊して壁のディスプレイから消えた。
「・・・」
前田班長が言葉を無くしている。
「心配するな!
他の情報収集衛星が対艦粒子ビームパルス砲でスパイ衛星を攻撃した。
攻撃せねば、我々の情報収集衛星が破壊される・・・。
情報収集衛星は国籍を公開するよう国際法で決められている。
建前として、今回のようなステルススパイ衛星は存在しない。
破壊しても、国際問題にはならない」
吉永の言葉に、前田班長がふうっと溜息をついた。
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