一 爆弾攻撃

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一 爆弾攻撃

「松木!麻薬取締法違反の現行犯で逮捕する!そのまま、床に伏せろ!  武器を捨ててその場に伏せろ!こっちは五人がお前たちに銃を向けている!  銃を捨てて伏せろ!」  ヨットハーバーの事務所に乗りこんだ重武装の特別捜査班(特捜)は銃で威嚇して逮捕状を見せ、銃を構える被疑者の松木実たち三名と対峙した。 「ボートの後ろの潜航艇を見つけるとはたいしたもんだ」 「中は確認した。観光客の代わりにヘロインが乗ってた。他にもあるならここに出せ!隠すとためにならないぜ」 「わかった。銃はここに置く。  取引しようぜ。このバッグにヘロインとダイヤが入ってる。十億になる代物だ。これをそっくり、オマエたちにやる。だから、これを持ってこの場から去ってくれ・・・」  松木は銃を机において床のバッグを示した。 「ゆっくりバッグを開けて中を見せろ。妙なまねはするな。銃がお前の胸と頭を狙ってる」  吉永は、四人の捜査官の銃を目配せした。 「わかった。わかったから銃を下げろ。ほら、ゆっくりバッグを開ける・・・」  松木はバッグのジッパーに手をかけて、ゆっくり最後までカチッと音がするまで引いて、バッグの中を吉永たち特捜官たちに見せた。  中にあるのは、ダイヤが入った透明なジップロックと、白い粉末が詰ったジップロックだった。松木はそのバッグを床に置いて吉永の前へ滑らせると、 「さあ、床に伏せる。それを持ってここから出ていってくれ」  と言って他の二人と共に、スッと机の陰に伏せた。 「ヤバイ!爆弾だ!逃げろっ!」  吉永が叫ぶと同時にバッグが吉永の方向に向って爆発した。指向性の爆弾だ。  熱と閃光の激しい爆発で、吉永は気を失った。  吉永が気づいたら、激しい痛みがあった。  俺はどうした・・・。何も見えないし、聞えない・・・。身体が焼けるように痛い!腕と脚が動かない・・・。 「オイ、怪我はないか!?松木はどうした!?」 「ああ、なんとか無事だ。松木が逃げた!」 「俺はダイヤが身体に食い込んでる!」 「吉永!お前、腕も脚も無いぞ!早く電話しろ!救急車だ!」  吉永は他の捜査官の声を遠くに聞いた。そして、霧が晴れるように片眼の視界が次第に開けてきた。クソッ、なんてこった。俺の脚と腕が無いって・・・。どうりで・・・。また意識が無くなった。
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