幸せのクローバー

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「ねぇ、来週どうする?」 2人は1週間後に迫った結婚記念日の予定を立てていた。 毎年、2人で出かけるのが恒例のになっているが、今年は10年目だ。 いつもとは、違うことをしてもいいかもしれない。 そう思った妻は、夫に尋ねた。 「そうだねぇ、今年は家で小さなパーティーみたいにしてみようか」 「それ、いいわね!2人でおしゃれな料理を作って、ケーキを食べましょ」 「その後に、映画鑑賞はどう?ポップコーンとか買っておいてさ」 「賛成!楽しみね。どんな料理を作る?去年行ったあのお店みたいな料理とか、良さそうじゃない?」 それから2人は、どんな料理を作るか、ケーキはどうするか、飾り付けはどんな風にやるか、など様々なことを決めた。 2人とも、その日を一日千秋の思いで待った。 その間、互いに渡すプレゼントの用意をした。 妻は、もうすぐ寒くなること、そして今、夫が使っている物が古いことからマフラーを贈ることにした。 夫が仕事に出ている時に、少し離れたショッピングモールに行き、いろんな店をまわる。 じっくりと悩んだ末に、夫に似合いそうな、暖かい色味のマフラーを選ぶ。 そのマフラーを巻き、隣を歩く夫の姿を想像して、思わずにやけてしまう。 帰り道、雑貨屋さんでお洒落なレターセットも買った。 夫に手紙を書き、それも贈ることにした。 一方で夫も、妻へのプレゼントを買いに、仕事の帰り道、駅ビルに寄った。 妻に贈るのは、普段あまり物をねだってこない妻が前に、ぼそっと、綺麗、と呟きながら見ていたネックレスだ。 妻の誕生石が埋め込まれたハートのチャームがついた、派手すぎないもの。 普段から薄化粧で、服も派手なものを好まない妻によく似合うと思った。 そのネックレスをつけ、隣を歩く妻を思い浮かべて、思わず頬が緩む。 そして、帰りに通りかかった店で目についた、妻が好きそうなデザインのレターセットを買った。 手紙を書いて、妻に贈るために。 夫は手紙だけではなく、ほんのささやかなサプライズも、入れることにした。
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