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海
母と兄と私で父の運転する車で海に出発した。もちろん私は昨日の蝉の入った虫かごを持っていく。まだ｢ミンミン｣と鳴いている。しばらくして海に着いた。私は蝉に初めての海を見せようとカゴを持って車から降りたが途中で転けてしまい、その拍子に蓋が開き逃げてしまった。
……やっと逃げれたが、ココはどこじゃ？ 止まる木も無ければ嫁もいない。ただ見たことも無い景色が広がる。こうしてはおれん！だが、何処に？ あ！
泣いている私を見て兄は優しく起こしてくれた。カゴを見るとなぜか蝉が止まっている。ゆっくり近づきあっという間に捕まえカゴに入れた。やっぱりお兄ちゃんは凄い。
夕方になり帰る準備をし車に乗った。今度は逃げないように母にカゴを持ってもらった。しかし、家に着くと蝉の姿は無かった。母は可哀想だから逃がしてしまったと言い悲しくて悲しくて、寝るまで口を聞かなかった。
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