#03.川上くんは罪な男です。

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#03.川上くんは罪な男です。

「そもそも、川上さんは……わたしのどこが、そんなに、好きなの」  秋めいた風を感じ、川上くんの手のぬくもりを感じながら、ふと、そんなことを聞いてみる。……周りの目が気にならないといえば嘘になるが。SL広場。サラリーマンの街頭インタビューでよく出てくる場所だ。小さい頃テレビで見て、憧れていた世界。へーえおじさんたちのパラダイスだぁー、なんて思って、羨ましがってた。  川上くんは、立ち止まる。「……どうして」 「……うん?」声が小さくてよく聞き取れなかった。いつもはきはきと喋る川上くんにしては。  すると、川上くんは、 「なんで……おれのこと、さん付けすんの。……おれ、ちゃんときみの、……彼氏なんだけど……」  拗ねたように言う川上くんが可笑しくて、ふぅっ、と、わたしは、吹きだしてしまった。おいおいなんで笑うんだよ、と言われても、簡単には、止まれない。すると、―― 「……っ」 「ほら。止まった」 「だっからも……っ」わたしは慌てて彼の手を掴み、改札口へと急ぎ、「ところかまわずキスするのやめてよ……っ!! 誰かに見られでもしたら――あ――」
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