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――ち。「近い近い近い。川上くん。あの、……こんなところで、わたしを、……困らせないで……っ」
「桃花。……おれは、きみの、彼氏、……なんだから。……呼べるよね?」
わたしはかーっと頬が熱くなるのを感じた。たまらず目を逸らし、「……は、ハードルが、高い、です……。第一わたしたち、昨日、お付き合い、始めたばかり、……なんですよ?」
「おれはきみのことが知りたい」
「……っ」やばい。その、細い指先で下唇をなぞられただけでからだじゅうに電流が走る。……いったい、わたしのからだとこころは、どうなってしまったのだろう。キスだけであんなになるからだじゃなかったはずなのに。なのに……!!
「そうだ。桃花」川上くんは、わたしの下唇をすりすりする指を止め、「……うち、おいでよ?」
間の抜けた声がこぼれた。「……ふひゃい??」
* * *
「いやああああーーーーー!!! なにこの絶景ぃいいいいーーーーー!!!!」
仰天。走りこんでいた。うわお。ドラマで見るみたいな景色だわ。
壁となるはずの三方向がガラス張りの窓になっていて。東京の絶景を見渡せる。……嘘みたい!!
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