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「だいじぶ。……ところで桃花。……ますます危険な状況になっているんだけど……わざと?」
はっ、と息を飲んだ。えーっと川上くんに抱きしめられそうになって、つい、胸を押したら、窓の下のソファーに川上くんが転がり、そいでもって、わたしは、……伸し掛かっている状態。
やだこの体勢。まるで……!!
下に見る川上くんは、相変わらず、綺麗な顔をしていて、……美形って上から見ても美形なんだわ。ちっとも見下ろしている気がしないわ……なんてことを思っていたら。
「よいしょ」なんてウエストを支えられ、動かされた。「……ドリンク入れましょうか」
すぐそこのアイランドキッチンへと向かう川上くんの背を、少々失望した気分で見送る。……なんだ。てっきり……。
(期待したのに)
わたしだって、そういう状況を、望んでいないわけではない。もう、六年もご無沙汰だ。蜘蛛の巣張ってるかもしんない。とは、いえ――。
仕事でしか付き合いのない、川上くんのマンションに、のこのこひとりでやってくるくらいには、警戒心の緩い人間だ。いや――もしかしたら。
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