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川上くんなら、よかったかも。……なんて思ってしまう自分が、いる。だって。だって――。
『おれは、きみが、好きだよ』
『好きだよ桃花。……本当、可愛い……』
一度告白してからはずぅっとずぅっとわたしのこと好き好き言ってくれるのだもの。勘違いしちゃうよ。まるで、自分が、魔法の世界で一番可愛い存在なんじゃないかって。ただの、しがない、アラサー女だというのに。
それにしてもだ。随分待たせるなぁ。身支度整えて座り直す、ここまでは来たぞ。……と気になって、川上くんのいるキッチンのほうへと、回り込んでみる。すると。
「……ま。豆、挽くとこからすんの……っ!?」目を剥いた。がりがりと、専用のミルで、慣れた手つきで、川上くんが、コーヒーを挽いているではないか。しかも、黒のエプロンまでして。
……やだ……川上くん。それじゃ、イケメンカフェ店員だよ……。
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