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本格的に欲しくなる。その寸前で、川上くんは、――止めた。わたしの涙を唇で吸い上げ、
「デザートはコーヒーの後だよね」と川上くん。冷たい印象を与えるハーフリムのはずだが、なんだか、空気が、和らいで見えた。「じゃあ……椅子持ってくるから。座って見てなさい。お嬢ちゃん」
くたーっとした市場の魚状態のわたしを置いて、椅子を持ってきて、座らせ、淡々とまた、コーヒー職人の仕事に戻る。わたしのことをこんなにしておいて。わたしは密かにつぶやいた。
「……川上くんって、本当……罪な男」
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