#01.川上くんは情熱的な告白をします。

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「好きだ。付き合って欲しい」  職場恋愛なんて、リスキー以外の、何物でもない。だから、わたしは、 「無理です」  即答した。すると川上くんは、「理由は?」と聞いてくる。  ……あなた、同じ職場なんだから、わたしが転職経験あることくらい、知っているでしょうよ。 「川上さんは。ジョークでそんなことを言うひとじゃないから……信じて。敢えて、本当のことを、答えますけど。  わたし、前の職場を退職したのは、……同僚に、彼氏を奪われて。気まずくなったから……なんです」    てっきり顔色を動かすと思いきや。さっすが『氷の男』。『コールドフェイス』の異名は、伊達ではない。表情筋ひとつ、動かしやしない。 「だから。もし、……同じようなことになったら、お互い気まずいですし……ああいう事態は、二度と、ごめん、なんです。……分かってください」 「別れなければいいだけの話じゃないか」涼しい顔で、川上さんは言う。「おれは、……職場だけの付き合いだけれど、きみのことは、よく、分かっているつもりだ。……人前で明るくはしているけれど、裏で、結構悩むタイプだろ? ……きみは可愛いから、同性の嫉妬を買いやすいからな……会社で同性の友達がいないのも、それが原因だ」  ――な。「なんで……そのことを……」  知っているんです? の言葉が続けられなかった。あろうことか――川上さんが、わたしに向かって、微笑みかけているから。  ――きゅん。
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