#04.川上くんは裏で頑張る男です。

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 にぃ、と口の端をあげた川上くんは、「……いま、えっちな想像したでしょう? 桃花」 「しーてーまーせーんッ」  コーヒーに口をつけた川上くんが、「慌てて否定する辺りがなんか……怪しい」  ぐぅの音も出ない。……あぁーあ。職場恋愛なんてこりごりだと思っていたのに。最初のキスと、さっきのキスで、すっかり、骨抜きにされた自分がいる。……あの続きを、して欲しいな、なんて……。 「ところでお腹空いてるよね」と、エプロン姿の川上くんが立ち上がり、「パンケーキ的なものでよければ、パパッと作ってくるよ」  ――え。「なんで。いいの? ……てか、パンケーキなんてパパッと作れるもんじゃ……」 「や。ホットケーキミックスで簡単に作れるんだよ。……座ってゆっくりコーヒー飲んでな?」  そうしてまた、教師みたく、頭をぽんぽんしてくるものだから、「……子ども扱いして……」  くしゃっ、と川上くんは笑う。「きみが子どもではないのはおれが一番よく分かっているよ」  そうして、キッチンに向かう川上くんの背を見送り、思う。……子ども扱いされるの。…… 「嫌いじゃない」  * * *
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