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「やばーい。パンケーキ。ふっかふかぁ……!!」
十分くらいで川上くんは戻ってきた。最近忙しくて、頭をぼうっとさせる時間もなかなか取れなかったため、久々にゆっくり……ほっこり、させていただいた。
ふっかふかのパンケーキに、生クリーム。メイプルシロップが絡み、超絶的なハーモニーを奏でている。……うわわ……。美味しい……!!
「喜んでくれてよかった」と川上くんは、コーヒーを飲んで、微笑む。「ひとりで作っても寂しいだけだからさぁ……やっぱ、女の子に喜んでもらえるのが一番、だよねえ……」
ひとつ、気になったことを、問うてみる。「……他の女の子に作ったりしたことって……」
「ないよ」と川上くんは否定する。「桃花が初めてだ。……ん? ひょっとして……妬いてる?」
ぶすぅー、とほっぺを膨らませて、「妬いてません。……ねえ。川上くん……」
なぁに、と答える川上くんに、わたしは、
「こちらを頂いたら……帰りますから」時刻は二十時。頃合いといったところだ。
わたしの発言に、すこし、傷ついた目をしたような川上くんは、無理に作ったような笑顔で、
「分かった。……送るよ」
と、答えたのだった。
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