#04.川上くんは裏で頑張る男です。

5/9
前へ
/52ページ
次へ
「やばーい。パンケーキ。ふっかふかぁ……!!」  十分くらいで川上くんは戻ってきた。最近忙しくて、頭をぼうっとさせる時間もなかなか取れなかったため、久々にゆっくり……ほっこり、させていただいた。  ふっかふかのパンケーキに、生クリーム。メイプルシロップが絡み、超絶的なハーモニーを奏でている。……うわわ……。美味しい……!! 「喜んでくれてよかった」と川上くんは、コーヒーを飲んで、微笑む。「ひとりで作っても寂しいだけだからさぁ……やっぱ、女の子に喜んでもらえるのが一番、だよねえ……」  ひとつ、気になったことを、問うてみる。「……他の女の子に作ったりしたことって……」 「ないよ」と川上くんは否定する。「桃花が初めてだ。……ん? ひょっとして……妬いてる?」  ぶすぅー、とほっぺを膨らませて、「妬いてません。……ねえ。川上くん……」  なぁに、と答える川上くんに、わたしは、 「こちらを頂いたら……帰りますから」時刻は二十時。頃合いといったところだ。  わたしの発言に、すこし、傷ついた目をしたような川上くんは、無理に作ったような笑顔で、 「分かった。……送るよ」  と、答えたのだった。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

163人が本棚に入れています
本棚に追加