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「おれは、きみが、好きだ……。井藤桃花……。桃花、と、呼んで構わないか」
――い。「いやいや!? なに言ってんですか川上さん!! 距離の詰め方おかしいでしょう!?」
慌てたわたしが可笑しかったのか。ははっ、と、綺麗で整った白い歯を見せて笑う。……やだ……その顔、やめて……。普段はポーカーフェイスなのに。その顔、もっと、見せてくれたらいいのに……。
って。いかんいかん。これじゃあ、完全、川上さんのペースに乗せられている。そもそも、一回のデートぐらいで、告白とか、あ、ありえない……。
「告白されたくらいで照れるなよ」と頬杖をついて川上さんは、下から、じぃっ、……と、わたしの目を覗き込む。「間近に見るとなおのこと可愛すぎて危険だな……桃花。おまえの笑顔は、凍てついた氷の大地を溶かすほどの魔力がある……」
ポエマーかよ。「キザなセリフで落とそうとしたって無駄ですよ? ……わたし、職場恋愛なんてもう、こりごりなんですから。付き合っても別れても、面倒なことこのうえありませんし」
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