#01.川上くんは情熱的な告白をします。

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「……確かに、会社は、恋愛をする場ではない。賃金を与えられ、与えられた賃金以上の成果をあげるべき場所ではあるが……同じ職場で働く同士。親近感を抱かないと言ったらそっちのほうが、嘘だろ。  それに。桃花……。    きみの好みは、職場だけの付き合いであれど、よく、分かっているつもりだ」  わたしは気になって問うた。本気かどうか知りたかったからだ。「へえ? 例えばどんな?」 「推しが、……ジミンと、ナナミン」  咄嗟にわたしは自分を腕で守った。「……なっ……なんでそれを……っ!?」誰にも言ってませんけど! 「昼休みに携帯でがっつり聴いてんじゃねーかよ」呆れたように川上さんが言う。「ジミンの腹チラだけすんげえ、『きゃーっ』て叫びそうな顔してんじゃねーかよ。待ち受けがナナミンとか分かりやすいことこのうえないな……プィッターのアイコンもナナミンだしよぅ……」 「アイコンのことなんてなんで知ってんですかっ!?」 「知らねえのかよ」とあきれたように川上さん。「電話番号分かればアイコンまで辿り着けんの。……まあ、個人情報は一切ぶちまけてはいないから、放っておいたけれど」  決めましたわたし。プィッターでサブ垢つーくろうっと。
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