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俺はいったい……。
俺は朝、目が覚めた瞬間、驚いた。
なぜなら。
「俺は……誰だ……?」
俺は自分の事が、この場所が、生まれてからの記憶が無かった。
否、ベットで寝てたって事はここは俺の家か。
って事は
「自分自身の事を知る為の…手がかりがあるかもしれないな」
そう呟いた俺はベットから起き上がろうとする。
すると、傍らに置いてあるスマホに気がついた。
「これ……俺のか…?」
いや、俺のか。
電源を入れ、少しの眩しさに目を細めながら時計を確認する。
【4:30】
記憶がなくなる前の俺は早起きだったのかな。
電話帳、メール、ブログ。等々、色々なアプリが入ってる中、俺が最初に確認したのはギャラリーだった。
アイコンをタップし、中を見る。
そこには、思い出の写真らしきものがぎっしり入ってた。
その数、脅威の500枚超え。
合計枚数だとしてもこれは驚きだった。
しかもその殆どは【カメラ】の類だった。
俺はそこまで写真を撮るのが好きだったのか?
そう考えながらもそこに手掛かりがあると踏んだ俺はそれをタップする。
すると、
「この子は…いったい……」
思い出そうとすると何故か胸が締め付けられる。
日付を見ると、殆ど毎日この少女と写真を撮っていた。
年下なのかな……?
随分と幼く見えるその子は身長が低く、可愛いなと思ってしまった。
勿論昨日の日付の写真もあった。
「俺は…学生なのか。」
制服姿の写真があった。
ただ、学校に行くにしても場所が分からないし、自分に関しての情報が無いため、年齢がわからない。その為、中学生なのか、高校生なのか、はたまた大学生なのかが分からない。
何より、この時間から行く学校は無いだろう。
現在【4:45】。
まだ時間がある。1時間はあると見て良いだろうか。
「探すか。」
そう呟いた俺は今度こそ立ち上がり、家の中を探索し始めた。
「まじか……。」
リビングらしきところに来た俺は驚いた。
だって、こんなに沢山の賞状があれば誰だって驚くだろう。
剣道に、ナイフ術、護身術、空手、合気道、重量挙げ、と言う格闘技系以外にも、
茶道や、書道等の心身系の賞状もあり、殆どの賞状には、【優勝】の文字が書かれていた。
記憶がなくなる前の俺はここまで運動神経が良かったのだろうか。
俺は驚きつつ、リビングを出て、次はどこに行こうかなと思っていると一つの扉を見つけた。
その扉だけがなぜか気になった。
沢山扉があり、どれも同じ様な模様なのにね。
「入ってみるか。」
俺は扉を開ける。
すると、
そこは和室だった。
畳が敷き詰められており、この家の殆どの部屋がフローリングだったので少しの驚いた。
けど、更に驚いたのはそこに置いてあるものだった。
刀と見られる物、竹刀、木刀、剣道着らしき物。
その他に空手着とあった。
また、それとは別に、袴があり、茶道等に使う物だと直ぐに分かるものだった。
「お、おじゃまします」
と小声で言い、中に入る。
早速気になったのは刀である。
まぁ、勿論模造刀だったのだが。それでもカッコイイなと思った。
次に気になったのは竹刀や木刀だ。
そのうちの一つを持ってみると、
「うわっ…おっも!」
凄く重かった。
こんな物を俺は振り回していたのだろうか。
木刀は…と言うと、竹刀よりも重く、数秒持ってるだけでも肩が攣りそうだった。
俺は和室を心ゆくまで探索し、部屋を出た。
その後、色々なところに行き、頭の中に家の中の地図を描きながら最初にいた寝室に来ていた。
時刻は【5:30】を指しており、長い間家の中を歩き回ってた事を示していた。
それもそうだ。
この家は2階建ての一軒家。
部屋の数が多かった。
台所に洗面所、バスルーム、トイレ等の部屋以外に、リビングがあり、和室が1部屋。12畳くらいだろうか。
フローリングの部屋が1階と2階を合わせて10部屋位ある大きな家だった。
それにしても…。
写真の女の子に沢山の賞状。俺の情報。
色々と分からないことが多いな。
そんなことを考えていると
“ピーンポーン”と家のチャイムがなるのだった。
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