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今朝出発する前に、実家には明日帰ることを連絡した際、友さんと一緒に帰ることを伝えた母親は『清藤さんも一緒なの?じゃあ美味しいもの作らなきゃね!』と、嬉しそうに電話を切った後、何度となくメールを寄越してくる。
通知が来ていることはジーンズのポケットに突っ込んでいるスマホから伝わっていた。
溜まったメールを開けば、友さんが嫌いなものは?とか、泊まる予定でしょ?とか、思いついた時に送っている内容ばかりだった。三連休だからといって、実家に三日間潰されるのは正直嫌だった。
(纏めて送ってくればいいのに……)
出来れば最終日は家で友さんと過ごしたい。
溜息を吐いた俺の様子を横目で見ていたのか、不安そうな声が聞こえた。
「どうした?なんかあった?」
「いや、母さんが友さんの好みを聞いてくるんだけど……小分けに送ってくるから面倒だなって」
「え? そうなの? 気を使わせちゃって悪いなぁ……」
「明日の夜、泊まるんだろうって……」
「え? 泊まる? 」
ほら、友さんだってびっくりしてるし、最終日は二人で過ごしたいよね。
「嬉しいなぁ。ご迷惑じゃない? 」
「え? 友さん泊まりたいの? 」
徐行し始めた目の前を見れば、高速から側道に降りて信号で停まるところだった。
「あっ、元希が嫌なら……帰るよ」
シュンと俯きかけた横顔に、会話の流れから誤解を招いたことに俺は焦って声を荒らげた。
「違うよ!俺は最終日は友さんと二人で過ごしたいって思っただけだから!」
「あ……そっか。泊まるのは……おまえに任す。俺はどっちだって一緒に居れるならいいから……」
妙な雰囲気に包まれたの狭い空間で、ハッキリと気持ちを伝えていないことに焦り始めた。
親になんて紹介するのかとか、田舎だからなんにもないのにとか、そんなことは慣れ親しんだ自分だから思うことであって、友さんにとっては全て初めてのことだし、俺の親に会うということに色んな意味も含め不安に思うことばかりに違いない。
何度も俺を伺うのはそういうことなんだ。
「なんにもない田舎だけど、俺の育った場所友さんに案内したい。時間が許すなら泊まってもいいし。俺も友さんと一緒に居れるんだったらどこだって楽しいし」
満面の笑みを向ければ、少し悲しげな表情を見せながら微笑みを貼り付け頷いていた。
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