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「そうだね。彼女は明るい性格で友達も多かったなぁ」 休み時間になると数人の友人達とワイワイと楽しそうに話していた光景が蘇る。 そんな彼女が俺を呼び出し『付き合って欲しい』と告白をした。昔の淡い思い出だ。 「彼女となんか……あった?」 昔の告白を思い出していた俺は返事をするのに数秒かかってしまった。 「高校の時、告白されたことがあったかな……」 もう過去のことだし、偽りを口にしてもなんのメリットもない。それに告白されたのは彼女だけでないし、その全ての告白を受けたことも一度だってない。 「学生時代の元希……モテただろうな……」 群青色に染まり一番星が輝き始めた空を見上げてそう友さんは呟いた。 「まあ、他の人がどうなのか知らないけど……告白は何回かあったかな……でも、付き合った人はいないよ」 「え?……そうなの?」 「なんかね、自分はなんとも思ってないのにいきなり好きになれって言われてるみたいで、抵抗があったんだよね。 俺がこの人と付き合いたいと思ったのは……友さんだけだよ」 学生時代は陸上に明け暮れ、彼女を作るより友人と遊ぶほうが楽しかった。 大学で付き合った彼女も友達から始まった付き合いだったし。 それもこれも、友さんに会うまでのステップだったと思えば、経験を積んだことで酸いも甘いも知り、こうやって友さんに辿り着いた。なんてことを思っていた。 「やっぱりお前は慎重派だね。俺なんて、告られたら一応付き合ってみるけど」 「え?」 意外な返答に横顔を覗き込んだ。 この動揺は俺達の始まりを思い起こさせていた。 とりあえず試しに付き合ってみるかと友さんは言った。 男でも女でもとりあえず自分に好意を向けてくれる相手ならどんな感情なのか知りたくなると言った。 「でも、俺の場合は性格に問題があってさ……告った癖に離れていくのは決まって相手からだ。見てくれに騙される奴は中身を知って離れていくんだよ」 諦めとも取れるその言葉に、何度も傷ついたのだとツキンっと胸が締め付けられた。 「俺も最初は外見から……だったけど、今は友さん丸ごと好きだけど?」 友さんへの想いは伝えることにメリットはある。憧れから意識し始めたはずが、今ではこの人の全てが好きで愛しい。 そう何度も想うことが俺にとって最大のメリットになっているから。
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