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「嬉しいなぁ。友さんが俺といて幸せだって思ってもらえること。これからもいっぱい一緒にいて幸せ増やしていこうね」
合わさった熱い昂まりから蜜が溢れ潤滑剤のように絡みつく。
本当は後ろを解して中に身を沈めたい気持ちは膨らんでくる。友さんが俺の家族に会う緊張を解してあげたい気持ちもある。
だが友さんがベストな状態を保ちたいと思っているならそれを尊重したい。
首に絡まった腕に力が篭り、頂点に届きそうなのだと察知し、荒い息を飲み込むように唇を合わせた。
抱き締められた腕の中でお互いの昂まりを纏め一心不乱に追い込んでいく。
しなやかに腰を逸らし吐き出した白濁とした液体に煽られ俺も絶頂を迎える。抱え込んだ細い身体の間でぬるぬるとお互いの吐き出したものが混ざり合った。
「はぁはっ、気持ちいい……」
漏らした吐息まじりの言葉がやけに嬉しくて肩先に埋めた顔をぐりぐりと押しつけた。
「友さん、愛してる」
「ん、俺も」
呼吸が整う間、抱き締め合ったまま触れるだけのキスを交わし、そっと細い身体を抱き上げた。
子供を抱えるように抱き上げ、落ちないようにしがみ付かれそれでさえ嬉しくてそのまま風呂場へ向かう。
「お前、甘やかしすぎ。成人男性抱き上げるとか……」
「なんか離れたくなくて」
「明日、そんなんじゃダメだからなっ」
「……善処します」
ふっと甘いため息を吐いた友さんは蕩けそうな笑みを浮かべ肩先に顔を埋めた。
二人で風呂に入りベッドに潜り込んだのは日付をゆうに超えていた。
友さんを抱き締めて眠る夜。何度もこうやって二人の夜を過ごしてきた。
性別とか上司とか、そんな拘りなんてものは俺の中にはなく、この人と幸せになりたい。
「俺さ結婚とか考えたことなかったけど……そんな形式はなくてもずっと一緒にいたいって気持ちは本当にシンプルで相手を大切にしたいってことに繋がるんだな」
「そうだね。俺も同じこと考えてた。気持ちの出どころは憧れだったけど、友さんに惹かれて恋愛感情なんだって気づいて男だからとか上司だからとか、そんなことよりも友さんが好きなんだって思ったら何がなんでも誠実でありたいし大切にしたいって思ったんだよね」
「俺も。気持ちの始りは思い出せないけど、気になる奴がいてそいつの真っ直ぐさに惹かれて、いつの間にか何かに乗っ取られたみたいにお前が好きで離れたくなくて……今思えば強引なところもあったのに、ちゃんと応えてくれて……ありがとうな元希」
「これからもずっと爺さんになるまで一緒にいたいって思ってます。いいですか?」
「そんなの、俺だって……嬉しいよ」
腰に回した腕に力を込めて引き寄せればピースが合わさるようにしっくりくる。女のように柔らかくもないし線は男なんだけど、俺に馴染む友さんの身体。
もうこの人じゃなければ抱けないし、抱く気はさらさらない。女が嫌いかと言われればそんなことはない。可愛いなぁと思うことはあるし今夜会った後輩も可愛いとは思う。
それが恋愛に発展するかと言われればそれはNOだ。
友さんがいい。友さんじゃなければダメだ。それは揺るがない気持ちであって変わることはない。
「俺、幸せだよ。元希と出会えて」
そんなの俺だって同じだ。こんなに深く人を好きになれるとは思ってなかった。
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