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翌日、薄明かりで目を覚ますと隣でスヤスヤと眠る友さんを起こさないように枕元のスマホを手に取り、昨夜無視し続けたメールの返信をする。 友さんを連れて帰ると言ってから母からのメール攻撃にうんざりしていた。 やれ好きな食べ物はなんだとか、泊まっていくのか?だとか、枕の好みまで聞いてくる。 心待ちとは違う緊張の伝わる気遣いは相手が上司だということだろう。 恋人なんだ!なんてことは言うつもりもない。 上司という肩書きで友さんを紹介することになるのだが、それもなんだか俺は腑には落ちていない。 気心の知れた気の合う上司。 実家まで連れていく程仲がいい関係なのだと理解してもらったらいいかなぁ……でもそれは上辺の関係。 プライベートで上司と出かける奴なんて余程仲良く気を遣わない相手。そんな関係なんだと両親に話す罪悪感。 友さんは俺の大切な人。 これ以上ないってくらい愛してる人。 何度でも友さんを実家に連れていきいつか俺達のことを分かってもらいたい。 そんなことを思いながら面倒臭い母のメールを律儀に返していた。 「おはよ。難しい顔してどうしたの?」 友さんの腕が俺の身体に身体に纏わり、ふんわり優しく笑う。
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