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 ホテルを後にし、車を走らせた。 景色は流れ建物がなくなり、長閑な田園風景が広がってくる。 都会で生まれ育った友さんがどんな感情になっているのかが正直気になっていた。  ちろちろと様子を伺いその表情を盗み取る。 「前見て運転しろよ」 挙動不審な俺をちらりと見ながら友さんが笑った。 「田舎過ぎてびっくりした?田んぼばっかりで……」 「いや、良い所だと思ってるよ。空気もいいし」  窓を開けた友さんの額に落ちた髪に俺の田舎の風がくすぐっている。 何故かそれだけで俺は感動してしまった。  俺の田舎に友さんがいる。 俺が走り回った農道や駆け回った山道をバックに綺麗な横顔の友さんが気持ちよさそうに風を感じている。 感動…感極まるとはこのことだと嬉しさがこみ上げてくる。 「どうした?なんか泣きそうだけど?実家行くの……しんどい感じ?」 泣きそうな顔?と俺の顔を覗き込み光のない瞳で不安な表情を見せる。 「しんどくなんてないし、俺感動してるだけだし」 と、焦った俺の口は矢継ぎ早につるんと滑った。 「感動?なにに?」 「えっと、俺の田舎に友さんがいることに」 きょとんとした友さんはシートに身体を預けクスクス笑った。 「その気持ち……わかる」  
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