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 見慣れた玄関戸をくぐると妹が呼んだのか、父母、祖父母と妹がずらりと並んでいた。  綺麗に横一列に並んだ家族のその威圧感ったら半端ない。親父と祖父は俺と同じで背が高い。祖母と母は小柄だが幅をきかせている。そんな真ん中には妹が満面の笑みで如何せんドヤ顔だ。  隣の友さんを横目で見れば、背筋をすっと伸ばし、 「初めまして、清藤友海です。真田君が帰省するというので便乗して来てしまいました。ご迷惑おかけします」  と、見惚れるほどの綺麗な笑顔を見せ頭を下げた。 祖母と母、妹はほんのりと頬を染め、親父は笑顔、祖父は無表情とアンバランスな表情を並べている。 「まあまあ清藤さん、よく来てくださいました。元希が色々お世話になってしまって。さあ、どうぞ上がってくださいな」  満面の笑顔で母が客用のスリッパを並べ差し出す。その横で手に持った鞄に妹が手を伸ばす。  父と祖父母は招き入れるように踵を返した。 「お邪魔します」と靴を脱ぎ、靴を並べ、立ち上がるのを待つ俺に視線を向けてアイコンタクトを送ってくる。まっすぐに向けられた視線にドキッとしながら、それを受け止めて俺は先陣を切る。 そんな気持ちはひた隠しに、見慣れたリビングをぐるりと見渡し、見慣れない新調したんだろうソファに友さんを招いた。  揃って腰を下ろした傍を陣取ったのは妹。それに後れを取った母がお茶と茶菓子を持ち、俺と友さんの微妙な隙間に若干肉襦袢を纏った母がグリグリと俺を押しのけ割って入る。 「清藤さん、その節は大変お世話になってしまってありがとうございました」 両側からの圧に引き気味の友さんは視線を俺に向けてきた。 ふうっと溜息を吐き、我が家の女性の厚かましさに友さんを援護する。 「友さん困ってるから! そんな距離感は失礼だよ。離れた!離れた!」 母と妹を押しのけ最初の定位置を取り戻す。まるで椅子取りゲームだ。 「友さんって……上司に向かって」 声をそろえる女性陣。でも俺はあえて「清藤さん」とは呼ばない。 「仕事はもちろんだけど、プライべートでも仲良くしてもらっててメリハリつけるためにプライベートでは友さんって呼んでる」  「いいなぁ」と妹の口からぼやきがこぼれる。  そんな妹に友さんはほほ笑んだ。 「陽菜さんも呼びやすいいように呼んでください。今はプライベートなので」  小さな顔に整ったパーツを並べ、優しい声色で言われればホワンと見惚れてしまうのは当たり前。  俺だってその整った容姿と美しい所作に見惚れて惚れてしまったんだから。 「いいなぁ、友さんみたいな上司羨ましい!お兄、恵まれてる!」  確かに外見は羨ましがられる上司だとは思う。だが、就業中の友さんは容赦なく途轍もなく厳しい。今隣にいる人とは思えないくらいに。  でもそのギャップが俺には断然クるんだ。 可愛い子達と眠る友さんは愛らしくて無垢な年齢不詳な人。いや、年齢なんて関係ないくらい俺はこの人の全部が愛おしい。
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