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「友さん……眠い?」 俺の肩先を枕にピッタリと寄り添う頭の上でそう尋ねてみる。 返事はないけど、腰に回した腕の指先が俺の背中を摩った。 「俺、飛行機の中でめっちゃ寝たんだよね」 そう伝えても返事はない。だけど友さんは起きている証拠に寝間着替わりのTシャツの中にするりと手を忍ばせ背中を這い回りそれだけで身体が熱を持ち始める。 「裸の友さん見てさ、俺、もう我慢出来ないんだけど……どお?」 タオル一枚で呆然と立ち尽くす姿は愛おしく、滑らかな肌に触れ掌から伝わる感触はご無沙汰だった雄の熱は身体に灯り始めていた。 友さんの心のメンテナンスが先。それは分かっていても俺だってまだ二十五。 好きな人の身体に触れればヤりたくなるのは当然のこと。 心のメンテナンスが終われば、俺のメンテナンスもしてほしいと強請ってみたい。 「……このまま寝るとか……本気で言ってんなら、絞め殺すところだった」 胸に顔を埋め、クスクスと笑いながら物騒なことを呟いた。 「だって友さんに会えるってワクワクしながら帰ってきたんだし、寝れるわけないじゃん。何日シてないと思ってるの?こうやってくっ付いてるのだって忍耐の賜物だから」 友さんの心のメンテナンスが先。そう、念仏のように唱えていたんだから。 「俺が悪いんだよな……おまえに気を使わせてばっかりで……でも、もう大丈夫だから。 お前の怪我のことも、彼女のことも。お前が思ってる以上に立ち直ってるから。そんなに気ぃ使わないで」 俺の中で凝り固まりそうだった友さんに与えてしまった心の傷。心配かけてしまった俺と無言のまま離れていった彼女。 友さんの心の中の過去への変化が俺といることで変わったのなら嬉しいことだけど。 「だけどさぁ、長年連れ添った嫁に『母さん今晩どお?』って、親父の科白みたいなのはどうかと思うけどな」 スクスクと笑い始めた友さんの笑顔に見惚れ、俺は心底この人が好きなんだと実感する。 突然の帰宅に胸震わせて飛び込んでくる姿も嬉しいけど、やっぱり笑顔がみたい。 「それじゃ遠慮なく」 そう言って覆い被されば『なんだよそれ〜』ってツボにハマったのか友さんは声を上げて笑い続けた。
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