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【 1日目 】
『ポツ、ポツ、ポツ……』
大学の夏期補講が終わって、家に向かっていた時、突然雨が降り出した。
いつも通っているこの川の土手の道を歩いていた僕は、あいにく傘を持っておらず、仕方なく鞄で頭が濡れないように走った。
「やべっ、本降りになってきた」
空見上げると、その雨は次第に強くなり、僕の顔を激しく濡らす。
やむを得ず、この川に架かる橋の下で、一先ず雨宿りをすることにした。
「何だよ、今日の天気予報、雨降るなんて言ってたかよ」
雨に濡れたチェックの上着の雫を払いながら、思わずそうぼやく。
気付けば、辺りが急に薄暗くなり、土砂降りの雨となっていた。
『ザァーーーーッ……』
夏の川の水の量が、そんなに多くないことが助かった。
周りを見渡すと、橋の下は10m程の幅があり、橋の袂には人が座るのに丁度良い高さの大きな石がある。
その石の中央付近は、人がよく座るからか、少し窪んでいるようにも見える。
僕はその幅2m程ある大きな石に、この夕立が止むまで仕方なく腰掛けることにした。
「ふぅ~、しかしよく降るな、この雨」
思わず独り言が漏れる。
すると、この土砂降りの雨の中、ボトボトと傘を雨が激しく打ち付ける音が、徐々に近づいて来ていることに気付いた。
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