11人が本棚に入れています
本棚に追加
那奈がうつむいてしまったので、俺の見解を示してみる。
翔平にも、言葉を尽くせって説教されたし。
「今日のいろいろを総合して考えると…
自分の人生をどう作っていくかはちゃんと考えるけど、俺がどういう道を選んでも那奈は隣にいてくれる…で合ってる?」
まずはそこから。
これは多分正解でいいんだろうと思っていたら、こくんと頷いてくれた。
調子に乗って続けてみる。
「…で、俺は最初のときにも言ったけど…高校の頃から那奈のことを大好きで、ずっとずっと抱きたかったんだ。
今でも全然変わんない。
だから…結構な頻度でホテルに誘ったりしちゃうし、今日くらいのことは普通に求めたいと思うんだけど…それは嫌じゃない、で、合ってる?」
むしろ、那奈がいいならもうちょっといろいろ試したいこともあるんだけど。
さすがに今日の状況でぎりぎりまで攻める気にはなれなくて、ある程度のところまでで我慢したつもり。
こういうことを、俺たちは話し合ったことがなかった。
那奈が恥ずかしがるし、俺も別に言葉で攻めたいわけじゃないから。
でも、大人同士これからも恋人関係を続けていくなら、ある程度の了解は取り付けておいた方がいいんじゃないかとも思ってた。
いい機会だし。
頷いてくれればそれでいいと思っていたら、那奈がちゃんと返事をしてくれた。
「…サッカーを、最優先にしてほしい。
私が好きになったのは、『木村君』なんだよ。
もちろん、付き合い始めてから知った素のナオのこと、大好きだけど。
私との時間を作るために部活をないがしろにしたり、合宿を断ったりするのは嫌だと思う。
意識的に嘘をついてたわけじゃないんだなっていうのは、なんとなくわかった。
でも、私を理由にして、ナオがサッカーをないがしろにするのは、一番いや。
その順番をちゃんと守ってくれるなら…二人のときは、好きにしていいよ。
私は、ナオに今日みたいにされるの…好きだから。
私はナオしか知らなくて…でも、ナオのことを全部知りたいと思ってる」
思わず反応しそうになってしまった。
やばい。
ここまで言ってくれるとは正直思っていなかったから、じわじわとうれしさが全身に広がっていく。
最初のコメントを投稿しよう!