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「うん。確かに一太君だ! でも、この写真よりももっと元気そうだったよ。」
稔の言うように、写真の中の一太は弱々しかった。痩せ細った身体、疲れ切った表情……。全てが今日出会った少年の様子とは異なっていた。
「そういうことだったのね……。全て理解できたわ。」
しかし、稔とは違い、貴子は何が起きたか、全て理解できたようだ。
「どういうこと、おばあちゃん?」
稔は怪訝な顔をしながら祖母の顔を覗き込む。そんな彼を、貴子は優しく抱きしめる。
「驚かないで聞いてちょうだいね。一太君は、おばあちゃんのお友達だったのよ。」
こうして貴子は昔話を始めた。
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