陽だまりのように

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 貴子が子供の頃。まだこの村には多くの子供がいた。横の家に住む一太もその一人だ。しかし、彼は生まれながら病弱で、外に出ることができなかったのである。そのため、貴子がよく家に遊びに行ってあげていた。  一太は彼女の訪問を心待ちにしながら、毎日を自室で寝て過ごしていた。そして、いつの日か、外で彼女と思う存分遊びたいと願い、元気になろうと必死で頑張っていた。 「僕、いつか思いっきり外で遊びたいんだ。その時には、貴子ちゃん、一緒に遊んでね。」  一太は口癖のように、貴子にこんな事を言っていたし、彼女も笑顔でその約束を受け入れていた。  しかし、一太が十歳になる年の夏。彼の病状は急激に悪化してしまった。
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