陽だまりのように

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 部屋で寝ていた一太は、息をするのもやっとと言うほど、弱り切っていた。しかしそんな中でも、貴子が来たことで目の奥に光が灯っていた。 「貴子……ちゃん。僕はもう……長くはないと思う……。今、凄くしんどいの……。」 「そんな馬鹿なこと言わないで! 私と一緒に外で遊ぶって、約束したでしょ?」  貴子はエグエグ泣きながら叫ぶ。しかし、そんな彼女を見ながら、一太は必死で微笑む。 「泣かないで、貴子ちゃん……。僕はずっと、貴子ちゃん達を見守っているからね……。今まで僕と仲良くしてくれて、ありがとう……。」  一太の目から、一粒の涙がこぼれ落ちる。それを見てさらに泣き崩れる貴子。しかしこれが、二人の最後の会話となった。
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