陽だまりのように

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「わあ! おっきなテントウムシ! こっちにはミミズもいる!」  祖母の畑は、家から少し離れた所にある。そこで稔は泥だらけになって、昆虫などを追いかけていた。しばらく無我夢中で遊んでいると、少し離れたところで珍しいトンボが飛んでいるのを見つける。 「あのトンボ、見たことがない! 待って待って!!」  稔はトンボのいる方へ走り出す。絶対に捕まえようと、必死でトンボを追いかけていったが、しばらくしたら見失ってしまった。  そして見失ってしまったのはトンボだけではない。遠くまで追いすぎてしまったせいで、稔は帰る道が分からなくなってしまったのだ。 「どうしよう……。おうちに帰れなくなっちゃった……。」  辺りに田んぼしかない中で、稔は泣きべそをかきながらうずくまった。
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