陽だまりのように

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 突然消えてしまった一太。稔は目を丸くして驚き、家に入るや否や、祖母に訴える。 「おばあちゃん! 今日、一緒に遊んでくれたお兄ちゃんがいたんだけど、消えちゃったの!」 「お兄ちゃん?」 「うん、この辺りに住んでる子らしくて、僕より少しだけ年上なの!」  しかし、貴子はそれを聞いて怪訝な顔をする。 「稔君。この村にはそのくらいの歳の子供はいないよ? 最近はめっぽう子供が減ってしまってね。この村で一番若い子は、お隣さんの家に住んでいる、高校生の女の子なんだよ。」  しかし、確かに一太は自分を助けて、かつ遊んでくれた。そんな事を言われても、信じることのできない稔は叫ぶ。 「でも、嘘じゃないもん! 一太君はね、迷子になっている僕を助けてくれて、そして一緒に遊んでくれたの!」  その言葉に貴子はギョッとする。 「稔君……。今、一太君って言った?」
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