様々な恋愛事情

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「お前はいつも正論ばっかりだよな……。冷静でいいよ。どうせ本気で人を好きになったこともないんだろ」  蓮は拗ねたように顔を背けた。律は俺に当たるなよ、と眉をひそめる。 「別に……。あるよ、そのくらい……」  まどかのことは本気で好きだった。そりゃ蓮みたいに大学時代からあの子が好き、この子が好きだなんていくつもの恋愛感情を散りばめることはないが、少なくとも本気で人を好きになったことくらいはある。 「本当かよ……だったら俺の気持ちも理解できるはずだろ」 「いや、あるから理解できないんだって。俺なら浮気はしない。せっかく手に入れたもの、自分で壊してどうすんの?」  もしもまどかが周の妻でなかったなら、もしも自分の方が先に出会って恋に落ち、付き合っていたなら、よそ見なんてしなかった。  掴んだ手が空を切るかのように、実態のない淡い想いを野放しにするかのようにそんな思いを自ら選択するなんてバカげている。 「そうだけどさ……でも、好きだったのは叶衣だけなんだって」 「じゃあさ、蓮はもし叶衣が好きなのは蓮だけだって言って俺に抱かれてたとしたら嫌じゃないの?」 「……は?」 「俺は叶衣を好きじゃない。叶衣も俺を好きじゃない。でも、一時の寂しさを紛らわすためだけに俺に抱かれたとして、蓮は何事もなかったかのように叶衣と俺と今までと同じように接しられる?」  俺が千愛希にそうしたように。寂しさを紛らわすためだけに抱いたとしたら……。 「そんなの無理に決まってんだろ!? お前、まさか手ぇ出したりしてないよな!?」  ガタッと勢いよく立ち上がった蓮は、血相を変え、律に掴みかかるほどの形相で睨み付けた。 ーーーー ※スター得点【キャラクタープロフィール】はスター3個から閲覧可能です。いつも応援ありがとうございます☺ 今後追加する可能性あり。
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