様々な恋愛事情

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 睦月と鍋田の話し合いの末、当然鍋田も懲戒解雇の対象となった。事の経緯を睦月から大崎に話し、battereの代表取締役と大崎が直に話し合うこととなった。  大崎が信頼する顧問弁護士を介入させ、千愛希がbattereのシステムを回復させることと、今後自社のシステムデータを使ったアプリは配信しないことを約束に契約がなされた。  それぞれ経営陣にとっては被害者である。社員達の不祥事とはいえ、ハッキングを仕掛けたbattereに非があることは一目瞭然であり、ウイルスを送りつけることもまた犯罪行為である。お互いに賠償金請求をしない代わりに今回の1件を水に流すこととなった。  双方、犯罪行為に触れているため優秀なプログラマーを失うのは痛いと被害届は出さなかった。  しかし、当然事件を起こした当事者達には弁護士から民事で示談金の請求がされた。  一方で、千愛希が出した指示に従う社員達。 睦月が追加させたゲームエンジンともあって、配信まで前向きに取り組んだ。  なんとか形になり、テストも滞りなく行われた。あとは配信するのみというところまでくると、ようやく社員達から千愛希にお礼の言葉が聞かれた。 「間に合ってよかったですね」  社員達を帰した後、2人で社内に残った千愛希と睦月。千愛希は大きく伸びをしてから安堵した表情で言った。
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