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「まだ1ヶ月しか経ってないのに結婚なんて、よく璃空がそんな決心したじゃん」
「あぁ、結婚の挨拶したのは付き合って1週間後だったんだけど」
「はぁ!?」
「だって叶衣はもう結婚したがってたし」
「いや、それは蓮とでしょ?」
「結婚をしたがってたんだから俺でもいいんだよ」
全く理にかなっていない言い分に、律は頭を抱える。
別に、いい。2人が決めたことなら。俺がどうこういうことじゃないし。そう思わないと会話を続けられそうになかった。
「一緒に挨拶に行ったってことは、叶衣は結婚に前向きなんだ?」
「だからそうだって」
「でも、どうなの? 実際璃空の妹とは身内になるわけでしょ?」
「そこも含めて叶衣とは話し合ったよ。でも、これ以上蓮と七海に振り回されるのも嫌だから、俺達は俺達の選択をすることにした。……俺が叶衣といたいし」
璃空の言葉に律は大きく瞳を揺らした。璃空は、律以上に他人に関心がなかった。女嫌いだったし、「俺が一緒にいたい」だなんて言う男じゃなかった。
それなのに、電話越しでも叶衣に対する慈しみが伝わってくるような優しい声色に律は驚きを隠せなかった。
「璃空……変わったね」
「んー、まぁ、そうだね。皆に言われる。俺自身実感ないけど」
「だとしたらいかれてる」
「もっと言葉選べたでしょ」
「あえてだよ。その……さ、叶衣のこと好きだって気付いたのっていつ?」
「……はぁ?」
璃空は今までの穏やかさを一変させて、とんでもなく不機嫌そうな声を上げた。
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