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そんなやり取りもあり、何度か千愛希を誘おうとしていた睦月だったが、既に連絡先は消してあり、社用のメールアドレスを使用するわけにもいかずそのままになっていた。
当然、大崎が率先して千愛希を誘ってくれるはずなどなく、今になってしまったのだが、それだって睦月が昨日「明日、千愛希を寄越してくれないか」と大崎に頼んだからだ。
「やっぱり止めておけ」
と一旦は言った大崎だったが、友人の頼みともあって結局は行かせた。事務所を私用に使うなよ、と思いつつも普段からよくやってくれてるしな……と他社員以上に仕事をしている睦月の姿も知っている大崎。
悪いヤツじゃないんだけど……そうは思いながらも結局加担してしまったことに罪悪感が湧き上がった。
睦月は、「顔を出す」と言った千愛希の言葉に胸が高鳴った。また、会える……と心拍数も上がる。
「じゃぁ、詳しいことはまた社長に伺いますから」
微笑を浮かべたまま腕時計に視線を落とした千愛希。睦月は去っていく背中を見ながら、新年会の日時を決め、他のヤツらにも連絡を取らなきゃなと口角を上げた。
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