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「急に容姿が変わったら、男が関わってるってこと?」
「だからそうばっかりとは限らないって。私みたいに急に思い立って髪切ることだってあるし。まぁ、なんか理由がある時もあるし。って、りっちゃん別に女の子の変化なんて興味ないでしょ?」
「……うん」
そう空返事をした律。興味ないわけがなかった。
あんなにもガラリと姿を変えた千愛希は、誰を思って行動に移ったんだろうか。律は、千愛希の容姿に口を出したことなどない。まどかの真似をするなとも言ったことはないし、どういう女性が好みかだなんて当然言ったことはない。
俺は、千愛希が見た目を変えたがるようなことを言った覚えはないし……じゃあ、他の誰かに言われたとか……?
そう考えると、やっぱり浮かぶのは睦月の顔。けれど睦月とは何年か付き合っていて、その間にも睦月のタイプなど把握しているはずの千愛希。今更睦月のために容姿を変える必要なんてないんじゃないだろうか、と思いつつも今一つその疑念を晴らせないでいる。
「とにかく、もう2人のことはいいの。もう璃空と結婚するのかって思ったら嬉しいしさ」
「璃空と結婚できるの嬉しいんだ?」
「へ? あ、うん。比べるわけじゃないけどさ、璃空といると蓮ちゃんといる時よりも愛されてるなぁって感じるんだよね。ご飯作ってくれたり、いつも心配してくれたり、いっぱい好きって言ってくれたり……あ、これ言ったって璃空に言わないでよ!? 拗ねちゃうから!」
「わかってるよ」
律は、少しだけふっと笑った。
「りっちゃんも彼女さん、そうでしょ? りっちゃんが付き合うくらいの人だから、きっと素敵な人なんだと思うけどさ。いっぱい好きって言ってもらったらキュンってするでしょ?」
叶衣にそう聞かれて思い浮かべるのは「私も恋愛感情とは違うかもしれないけど、律のこと好きだよ」と言った千愛希の言葉。
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