糖度150%、スパイス多め

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 盗聴器を仕掛けたあのネックレスは、睦月と解散した後すぐに千愛希に連絡をし、翌日の約束を取り付けた。  平日のために慌ただしく帰宅し、律が自宅にやってくるならと簡単に掃除をした千愛希。忙しさのあまり、家にいないことの方が多く、そこまで汚れているわけではないが、あちこちにホコリが被っていないか確認する必要はあった。  律がスーツ姿のままやってきた。手には紙袋が握られていて、中には着替えが入っていた。 「一緒にお風呂入ろう?」  そう言った律に、千愛希は前回のシャワーを思い出し、真っ赤な顔をした。律は当然、盗聴器を回収しにきただけなのだが、睦月が仕入れた動画を見たばかりだったし、睦月の千愛希に対する想いが本物だったことも知って千愛希への愛しさが溢れて止まらなかった。 「恥ずかしかったら先に入ってていいよ」  そう伝えて先に浴室に千愛希を送り込むと、脱衣所で外されていたネックレスを回収した。それをバッグに戻すと、前回同様熱い入浴タイムを堪能したのだった。  ぐったりした千愛希を抱えて寝室で何度も千愛希を抱いた。すっかり疲れ果てて眠ってしまった千愛希の髪を撫でながら、律もほんの少しだけ結婚というものを考え始めていた。  翌日目を覚ました千愛希が、ネックレスがないと大騒ぎしたのは当然のこと。泣きそうな顔で律を見上げる千愛希。その表情を期待したわけではなかったが、絶望している千愛希に反して独占欲が止まらない律。  もっとその泣き顔が見たいと、そっと舌なめずりをした。  遂に泣き出してしまった千愛希と共にネックレスを一緒に探す振りをしながら「もっと似合うものをまたプレゼントするよ」と約束した。
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