糖度150%、スパイス多め

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 その代わりのネックレスというのが昨日渡したものだ。 「ごめん、律……せっかくくれたのに。確かにあそこに置いたはずなのに……なくしてごめんなさい」  罪悪感に苛まれている様子の千愛希に申し訳なさは募るが、いつまでもあのままにしておくわけにはいかなかった。 「ちゃんと毎日しててくれただけでいいよ。もしかしたら俺が服を脱いだ時に洗濯機の裏にでも落としたのかもしれないし」 「あ……そうか。洗濯機の裏か……」  千愛希はようやく希望が見えた気がして顔を上げた。律はふっと口元を緩めると、盗聴器を外したら、洗濯機の裏に放り込んでおこうと思った。 「どちらにしても業者に頼んでどかしてもらわないと無理だね。まあ、いずれはちゃんとしたものを贈るつもりだったからさ」  そう言って取り出した箱に、千愛希は嬉しそうにはにかんだ。 「あのネックレスだって十分嬉しかったんだよ」 「そ? 本当はこっちを渡したかったんだけど、取り寄せになるって言われてあの日に用意できなかったんだ。だから、代わりに近くのアクセサリーショップで買ったの」  律はさらりと小さな嘘をついた。千愛希は繊細に輝くカラット数の高いネックレスに目を奪われながら「別に……代わりはなくてもよかったのに……」と言った。 「とりあえず早く渡したかったんだよ。千愛希が本当に俺だけの千愛希になったっていう印がほしかっただけ。だから、俺のわがまま。だめ?」  千愛希の顔を覗き込む律は、ふさふさのまつ毛を上下させながら、美しい瞳に千愛希を映した。千愛希はもうそれだけで胸がいっぱいだった。
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