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「叶衣と? いつ?」
「1月の下旬かな……ほら、璃空から電話があった次の日」
「ああ。俺達の結婚の報告した……」
「そう、それ」
「1ヶ月以上も前じゃん」
「そうなるね」
考えてみれば、千愛希のことを好きだと実感できたのもこの2人の電話がきっかけだったと律は思い出す。
「叶衣、そんなアドバイスしたなんて言ってなかったけど」
「アドバイスっていうより、こっちが勝手にヒントもらった感じかな。まあ……俺なりに璃空と叶衣には世話になったと思ってるし。結婚祝いも妊娠祝いも奮発するから、欲しいものあったらなんでも言ってよ」
「へぇ……珍しい。こんな機会あんまりないね」
「今回だけだよ。からかうつもりならあげない」
「そんなつもりはないけど、結婚するにあたって引っ越そうと思ってるんだよね。マンション買おうかなって」
「そう。いいんじゃない?」
「だから、俺の新築祝いも兼ねて頼むね。蓮にはコーヒーメーカーあげたでしょ」
「お前は、本当に遠慮ってものがないよね」
「律が言ったから。とりあえず入り用なものはリストにして後で送る」
少しくらいは遠慮しろと今更言えない律は、目頭を指で押さえて数度頷いた。
とんでもなく色んなものを請求されるんだろうと想像しながら、ふと睦月の顔が浮かんだ。
「あ……そういえばさ、最近厄介な出来事があったんだけど」
律はさらりと話題を変えて、睦月との間にあったことを洗いざらい璃空に話した。睦月の執着心が蓮と重なってみえたのだ。ないとは思うが、蓮が叶衣に似たようなことをしなければいいが……と急に心配になった。
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