糖度150%、スパイス多め

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 千愛希から律のもとに『まどかさんに会えないかな?』と連絡が来たのは、璃空と電話をした数日後のことだった。  律と千愛希がお互いの気持ちに気付く前、守屋家でまどかに会ったきりだった。千愛希は自分の思い違いでまどかに対して失礼な態度をとってしまったとずっと気にしていたのだ。  律は周との仲を疑うまでに発展し、あの夫婦には迷惑をかけたと日々気に病んでならなかった。  機会があれば正直にまどかには全てを話そうと思っていた。お互いに恋愛感情を持たずに付き合っていると知っていたのもまどかと周だけだった。  だからこそ、まどかも周も友人のように自分達に気軽に接してくれていたのだとわかってはいたが、恋愛感情に気付いた今、周とまどかのように素直に愛を育む関係に憧れもあった。  今までの非礼のお詫びと今後の相談も兼ねてまどかに会いたいと思っていた。  律はそのメッセージを読んで、そっと微笑んだ。正直安堵したといった方が正しかった。千愛希があんなにもまどかのファンだったのにもかかわらず、自分が曖昧な態度をとったせいでまどかに対する苦手意識を植え付けてしまったとこちらも悩んでいたところだ。  更に、まどかに恋愛感情を抱いていたことも知られ、それも初恋だ。千愛希にとっては面白くないことだったろうと思った。律自身、千愛希の初恋の相手が自分ではないと思った時の嫉妬心といったらなかった。焦燥感と独占欲とで気が狂いそうになった程だ。あれと同じ感情をまどかに抱いているとしたら、今後間違っても家に呼べないと考えていた。  だから最近会うといったら、専ら千愛希の家ばかりだった。もちろん千愛希の家ならば、誰にも邪魔されることなく2人きりの甘い時間を過ごせるのだが、律は守屋家で猫とじゃれる千愛希の姿も愛くるしくて好きだった。
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