異性の友情は存在する

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 千愛希はまどかに対して真っ直ぐだった。同性同士でありながら、好意を一切隠さない。むしろ同性だから隠す必要がないのか。  とにかく、まどかに対する想いをひた隠しにしてきた律とは違った。  なんだか、周にも似てる……?  まどかに対する千愛希の想いは、狂気とも思える周にも似ていた。そのことに気付くとさらに律はおかしく思えて、腹のそこから笑いが込み上げた。  初めてまどか愛を知った時には、その異常な熱量に困惑したが、慣れ始めればそれも素直さ故の行動に思えた。  女性はいつだって打算的でずる賢い。狙った男のためなら、多少汚い手でも平気で使う。そんな固定観念を覆したのはまどかだったはずなのに、それを千愛希からも感じた。  こんなところまで似てんのかよ……。  ふっと口角を緩めた律。千愛希には人として尊敬できる部分が多くあった。  そして、まどかとは全く違う部分も。 「アプリのダウンロード数が好調でさ、今度新しくイベントをやることになったんだ」  そう嬉しそうに言った千愛希。テレビゲームが好きな律は、アプリゲームなどほとんどやらないが、一応新しい小型ゲーム機にも一旦は手を出す。  千愛希がアプリ制作を行っていると聞いた日、すでにそのアプリについて調べていた。千愛希が勤める会社についてもだ。  律は、素性の知らない相手と友人になったりはしない。しっかりと勤め先とその会社組織の概要を把握し、千愛希の手掛けたアプリについても念入りに調べ上げた。  そこで知った千愛希の実力。そのアプリが絶大な人気を誇り、今や同世代の女性が知らない者などいないほどに有名な乙女ゲームとなっていた。 
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