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その日の花火大会は、結局、宮田屋と東山先輩と直美と由佳と夏海の5人で見ることになった。
今では忘れられない、青春の思い出である。
「ただいまー」
「お帰りなさい」
「おばあちゃん、すごい雨降ったよ」
夏海はおばあちゃんに少し文句を言った。
「何かあった?あなた、幸せそうよ」
「まあね」
「だから、いらないと言ったのよ」
祖母はまた、目を細めた。
あれから何年か過ぎて、直美は宮田屋の若女将になり、夏海は東山夏海になった。
あの時の夕立が、こうさせたのかも知れない。
それはあの時、傘を持たせなかった、おばあちゃんのお陰である。
了
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