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「なつみー、ゆかちゃんきたわよー」
二階にいた夏海に、階下から母親が声をかけた。
「今、行きます」
夏海はそう言って、階段を降りて行った。
由佳はなんと、夏海にも全く引けを取らない仕上がりで、それを見た祖母がまた驚いて、目を細めた。
二人は団扇ではなく、扇子を持たされて、まだ陽も少し高いけれども、二人並んで、夏海の祖母に見送られ、町の夏祭りに出掛けて行ったのだ。
夕立でも来そうなら、日除けも兼ねて、和傘を持ちたいところだが、このところの天気を見れば、それは不用であろうし、人が溢れている参道では、周りの迷惑になるかもしれない。
「ええ、いらないわよ」
祖母も、目を細めながら小さく頷いて、そう言った。
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