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「明日の新聞の地方版、楽しみにしていてください」
去り際に、カメラマンはそう言った。
さっきまで、晴れていた夏の空が、あっという間に雲に覆われて行った。
おばあちゃんは、傘はいらないと言ったのに、もう夕立が来そうだと、夏海は思い、少し不安になった。
神社の参道には、人々が溢れていたが、華やかな夏海と由佳が進んで行くと、自然と道が開けて、二人は誰かにぶつかられたりするようなこともなく、楼門を潜り、すんなりと本殿までたどり着いた。
神社の本殿で、二人は並んで賽銭を投げ、両の手を合わせた。
上空で雷がゴロゴロと鳴った。
「降りそうね」
「うん」
祈願を終えて、困って恨めしそうに、空を見上げた由佳を見て、上手に美しく見上げる由佳に夏海は感心した。
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