夕立ち

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また、雷が鳴った。 こればかりは、思い通りにはならない。 ちょうどまた楼門に差し掛かっていた二人は、そこで足止めにされた。 最近の天気続きのせいで、傘を持たない人がほとんどだったので、楼門や社殿の向拝の下は、人でごった返した。 後から飛び込んで来る人に押されて、二人は次第に端に追いやられた。 「ここ濡れるから、イヤ」 雨宿りの人でごった返す楼門の下で、若い女がわがままを言っている。 聞き覚えのある声に覗き見ると、同じクラスの直美だった。 直美は男好きのする身体つきで、クラスの中心人物である。 その日もキャミソールにミニスカートにヒールという出立ちで、周りの男たちの目を引いていた。
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