夕立ち

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ずっと南の、フィリピン沖で発生した強力な台風のせいなのか、日中は茹だるような暑さだというのに、梅雨が明けてからは、全く雨が降らない日が続いていた。 この町では、夏休みに入るとすぐに、まだ歴史の浅い、今年で25回目の夏祭りがあって、夏海は毎年浴衣を着て、幼馴染たちとよく、地元の歴史ある神社の境内で行われる、縁日を練り歩いたものだ。 小学生の時は、親も一緒に歩いたが、今ではそんなに美味しいとは思えない物を食べたり、今ではそんなに欲しいとは思わない物を、やたらと欲しがったりしていた。 中学生になると、親とは歩かず、幼馴染の女の子たちだけで歩いたが、ただ煩いだけで、何でもきゃあきゃあとはしゃいで、今考えれば周囲に対して、大変迷惑な子供たちだっただろうと、夏海は反省している。
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