ボーツ.アゲインスト.ザ.カレント

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青白い月夜の浜辺に、私とアンカンフェルは、空を仰ぎながら、立ち尽くしていた、、、、、、誓いなさい、、、、、、アンカンフェルは、夜空を仰いだまま、云った、、、、、、えっ😱💥、、、、、、私は、、、、、、誓うって、何を、誓うのですか?、、、、、、アンカンフェルに尋ねた。永遠の愛である、、、永遠の愛を、誓うのです! 、、、、、、アンカンフェルは叫ぶ、、、、、、私には、何がなんだか、判らなかった。天使は、なんて、気まぐれなのだろうか、、、、、、突然、ち.か.う............と、申されましても、永遠の愛を誓うような恋人も、僕には、居りませんし、即ち、誓うような対象が、ありません。申し訳ないのですが、永遠の愛は、私には、誓えないのですが、、、、、、そなたにも、そのうち、判る時が来ると、思う、、、案ずるには、及ばぬ、、、、、、はあ、しかし、私は、凡庸な、うだつのあがらない、ただのサラリーマンです。平凡です。それ以下かもしれないくらいです。50過ぎて、結婚を、一度もしたことがない。まあ、これから、するわけもない。そんな私に、愛を、それも永遠の愛を誓えと云われても、困ります、アンカンフェル! 、、、、、、アンカンフェルは、私の顔を見てから、にっこりと笑った。そうして、異言を唱えると、月に向かって歩き出し、透き通った水母のように泳ぎ、大きな空へと揚がり、まるで、見えなくなるまで、私は、見送った。 私が、いささか、釈然としない面持ちで、立って居ると、夕立が降って来た。 淋しい音楽の塊を、リヤカーに積んで、売っているらしい、男が、一人、浜辺に、佇んでいた。その男は、淋しそうに、ハーモニカを吹いていた。曲名は、判らない。ハーモニカの音が途切れると、男は、、、、、、孤独のなかで、私は、寂しさのなかで、私は! 、、、、、、そう叫んだかと思うと、黙りこくってしまった。 自分の涙を、ペットボトルに詰めて、売り歩いている女も居た。勿論、一本も、売れないようだ、、、、、、不思議な自転車の、前籠から、一本、ボトルを取り出すと、、、、、、おじさん、一杯、いや、一口、どうだい? 、、、、、、寂しいような、景気がいいような、口ぶりで、私に涙のボトルを、渡そうとした。その女には、顔がなかった。顔の輪郭は、あるのだが、糸の張ってないテニスラケットのように、向こう側が、透けて見えた。その訳を尋ねると、、、、、、私、ブスだから、自分の顔を棄てたの、、、、、、と、応えた。 雨空のあたりの、何もない丘から、鼓笛隊がやって来た。楽器は、演奏しているようなのだが、音は、伝わって来なかった。 夕立があがった。 晴れわたつた空の下、月に照り、一人の少女が、泣いているのが、さやかに、見られた。 私が自分の住むアパートに帰ろうとすると、一斉に、呼びかけるような、声が、幻のように聞かれた。 悲しい夜にも、私達は、希望が欲しかった、だから、だから、天使の遣いのあなたに、今夜、出逢いたかった、だが、あなたには、天使があなたの下へと、降臨している意味が、あなたには、判らない。私達は、いつか、救われる、あなたも、救われる、その希望を抱いて、私達は、今、消えます! 私が振り返ると、さぁーッ、と、透き通った風が吹いてきて、男や女や鼓笛隊や、少女やらは、消え去っていつた。 私は、青白い月を、一度だけ、仰ぎ見て、それから、月に向かって、手を振った。繰り返し、繰り返し、振り続けた、、、、、、お月様、人生と云うものは、そんなにも、悲しいものですか?寂しいものですか? どうなんだろうか? 、、、、、、 どこからか、天上百花楽の、哀調いちじるしい一曲、、、、、、さよならの詩、、、、、、が、漂って来た、、、、、、 私は、アパートに着くまで、一度も、お月様を、振り帰らなかった。どこからか、エリック.カルメンの、ボーツ.アゲインスト.ザ.カレント、が、流れ、聞こえて来るようだった。錯覚かもしれないが、、、、、、確かに、かすかに、、、、、、確かに、かすかに、彼の歌声、では、あったようだ。南無三。
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