序章 秘密の定例会のお客様

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部屋を暗くして。 遮光カーテンを引こう。 外からは見えないように。 声が、漏れないように。 窓は閉めたか? 俺が小声で言うと、周りの奴らは顔を見合わせて、コクリと頷いた。 今、ここにいるのは、女、2人。 男、俺を含めて、3人。 おーっし。 「行くぞ、途中離脱は許さない…トイレで抜くのは、仕方ないが」 「いいから、早く再生しろ!雪子、帰ってきちゃうだろが」 俺は高校時代からの悪友、鳥越(そら)の肩を拳で軽く殴ると、昊は「オッケー」と明るく答えて、リモコンで再生ボタンを押す。 「ワクワク!」 「うふふっ!これは45分あるから、最初の余計なのは飛ばせば?」 近所のママ友、サキとミツコはソファに並んで座り、コーラゼロのペットボトルを握りながら交互に言う。相変わらずのコンビだ。 「あ、あのぉ。俺は無関係で…。ゆ、雪子さんに相談しに来ただけなのにぃ。理さぁん。ちゃんと俺のことバレたら、擁護してくれる?」 もう1人の男は、カメラマンのユージ。20代後半の見た目はまだまだ学生っぽい細身のイケメン。でも、これでも三児のパパ。奥さんは人気のお天気お姉さんだ。今朝も、可愛くて爽やかな笑顔をテレビで見た。朝の癒し。3分以上見つめてると、雪子に激おこされるやつ。 俺と昊はソファから降りて、ラグの上で肩を並べて座り、胡座をかいてテレビに釘付けになる。昊はリモコンで早送り。←リモコン担当。
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