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「イーディス、よく覚えておきなさい。あなたは敵を作ってはいけないのです。宮廷の女性を仕切るのは王妃の仕事であり、あなたもそう遠くない将来その責任を負う事になります。妹のわがままくらい窘められなくてどうするんですか。こういう身勝手を特別扱いする事が不満の種となり、あなたへの敵意として花開くのです」
「ローリン──」
「少なくとも、身内以外には、妹はあなたに服従していると見せかけるべきですよ」
強すぎ。
「大丈夫よ、イーディス。この人の言う事を聞いておけば間違いないから」
「(べろんっ)」
「キャハッ!」
「……」
王妃はなにをしても許される。
「……!」
そうか!
だから彼女を、国民的スターに仕立て上げたんだわ!!
やるわね……トラ婆。
その時、女同士の会話に痺れを切らしたカイル殿下が戸口から顔を覗かせた。
「おい、イーディス」
「ナ゛ア゛ァ゛ァ~~~ッ!!」
けど、ペロが突撃。
「キャンディー! 駄目よ。王太子妃の邪魔をしてはいけません」
止めるべきはそっち?
「おおう、ペロ! 相変わらず……ッ、強烈なっ、くっ、舌だなッ!!」
すっごいキスしてるけど。
「あなたにも少し教育が必要です」
ローリング侯爵夫人がついに私に矛先を向けた。
けれど、妹には見えない角度で高速ウィンクをぶちかましてくる。
「………………ああ」
私は、一連の妹への叱責が、殿下とふたりきりの時間を確保させるための、謂わばお芝居だったのだと、やっと理解した。
「ハハハハハッ! 強ぇ! 強ぇんだって!」
でも、今はペロついてるペロが問題よ。
間違いない。
あとまだ王太子妃じゃない。
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