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私は再び食事の用意されたテーブルに走った。
そして大きくてトゲトゲのパイナップルを掴み、また走り、
「ホレス!!」
「?」
「ぬんあああっ!!」
彼に向かって投げた。
大きくてトゲトゲのパイナップルを見事にキャッチした彼は、それを怯えて吠え続けるペロのほうに緩やかに投げた。
角度よし。
見通しよし。
私はパイナップルを撃ち抜いた。
「いやあああぁぁぁぁっ!!」
老婦人は絶叫。
でも……
「ふぅ」
目の前で爆発した果実に驚いたペロは、座り込み、キョトンとしている。
ペロと共に果肉と果汁を頭からかぶったホレスが、声をかけながら接近し、両手を差し出した。ペロは甘えん坊の猫みたいに頭をぐっと下げて、彼の胸元に潜り込んだ。まさに巨大な猫だ。
「ああ……ペロ!!」
「ペロ……?」
「え、ペロ?」
みんなが気づき始める。
尻もちをついた老婦人を支える男、パイナップルまみれのホレスを舐めるペロに戦慄する男、そして私か老婦人をぽかんと見つめる男。
そんな中で父が喝采をあげた。
「よくやった! イーディス!!」
それに同意するように、ホレスがペロを撫で回しつつ舐め回されながら、私に向かい親指を立てた。まばらにあがった拍手が、雰囲気に呑まれたせいなのかなぜか大きくなり、やがて私の名がコールされる。
「イーディス!」
「「イーディス!」」
「「「イーディス!」」」
「「「「イーディス!」」」」
待って。
「イィーーーーディーーーーーーーッス!!」
すごく、微妙な気分。
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